あらすじ
男はあるマンションの一室で目を覚ました。隣には見知らぬ女が寝ている。てっきり深酔いして記憶が曖昧なだけかと思ったが、何故か二人とも記憶をなくしていた。そしてその二人の腕には「level7」という不思議な文字が残されていた。見覚えのないその部屋には、札束がぎっしり詰まったスーツケースと拳銃と血の付いたタオルがあった。自分たちは事件を起こした犯人なのか?記憶をなくした男と女が記憶を捜して奔走する。一方、「レベル7まで行ったら戻れない」という謎の言葉を残して女子高生・貝原みさおが突然失踪した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%99%E3%83%AB7_(%E5%AE%AE%E9%83%A8%E3%81%BF%E3%82%86%E3%81%8D)
男と女の正体が判明した時に思ったこと
男と女は自らの正体を知るために偶然にも隣人の三枝に手を借りることになります。
幸山荘事件の話が出てきた時におそらくこの事件に関与している人物なんだろうなという気はしましたが、案の定その事件の被害者側の関係者でした。
男と女が自分の正体を知るために色々している裏でみさおが行方不明になり、悦子がみさおを探している話も並行して進んでいました。
なので初めは女の正体がみさおなんだろうと思っていましたがみさおと記憶喪失で自分探しをしている女は別人だったのでそういう点では予想外な真相でした。
level7の意味が判明
level7については危ない薬の強度のレベルを示しているのではないかと最初予想していましたが、あながち間違ってはいなかったように思います。
実際には幸山荘事件という背景があったうえでその真犯人である猛蔵が管理している患者に投与する薬や電気ショックなどで与えるステージの名称のようなものでした。
三枝について
三枝は最初、記憶喪失の男と女の記憶を戻すための協力者の立場で現れました。
最後まで読んでみると全てはこの人物が幸山荘事件の真犯人の猛蔵を倒すための計画者であり、今考えるとかなりの役者だったなと思います。
男と女の記憶を戻すための協力者という立場だけでなく、みさおと悦子側の話にも出てくるし、どうやら悦子の知り合いのようだし、と話が中盤からどんどんこの三枝という人物を軸にして繋がっていきました。
全体的な感想
何もかもが分からない状態から始まり、読み進めていくにつれて靄がかかった霧が晴れていくような感覚を味わえるのがこの小説の醍醐味だと感じます。
宮部みゆき作品はこの小説の前に「火車」を読みましたが、火車もレベル7もラストに向けてどんどん盛り上がっていく感じが楽しいです。
火車の時もそうでしたがこの方の小説はラストの文章が非常に凝っているなと感じます。
今回のラストの一文「封じ込められていた時間が、最後の1秒まできっちり戻されるのを祐司は耳にしたと思った」はこの物語がハッピーエンドで終わったのを現しているように思えてよかったです。
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