【ネタバレ・感想】滅びの前のシャングリラ

小説

滅びの前のシャングリラ 作者:凪良ゆう

序章

「一カ月後、小惑星が地球衝突します。」
一カ月後に地球が滅びるという設定でこの物語は始まる。

主人公江那友樹、十七歳。
想いを寄せるクラスメイトの藤森さんはこれから地球が滅びるとしてもアイドルのLocoのライブを見に東京へ行きたいという。
一人でも行くという藤森さんが心配で後をついていくと藤森さんがクラスメイトの不良の井上達にレイプされそうになっているところを目撃する。

友樹はそこらへんに転がっていた石で井上の頭を思い切り殴りる。
井上は頭を殴りつけられ気絶してしまう。

藤森さんの東京に行きたい本当の理由は自分の実の親に会いに行きたいからだった。
藤森さんと東京へ行くことになるが、意識を戻した井上に殺されそうになる。

何が起きたのか、次の瞬間井上は吹き飛ばされ、いかにもヤクザなおじさんが目の前に立っている。

後編 Locoのライブへ

ヤクザの男、目力信士。四十歳。
信士は昔の女に会いたくなり、居場所を調べて会いに行くことに。

昔の女の名前は江那静香。主人公友樹の母親だった。

会いに行き、強引に部屋に入ろうとすると静香のところに友樹から電話がかかってくる。
ピンチの息子を助けるため、静香と信士は友樹のもとへ向かう。

そして友樹の父親がヤクザの男信士であったことが明らかになる。

最初はみんなで広島に帰るつもりだったが、Locoの東京でのライブが中止になり、ラストライブが大阪で行われることが知らされる。

みんなでLocoの大阪でのラストライブを見に行くことに。

小惑星が衝突するのが午後三時、Locoのラストライブが始まる。
幕開けなのか、幕引きなのか、色んな人の想いが交錯する中、遠からず訪れる最期のときまで
Locoは歌う。

感想

誰か有名な人の言葉で「あなたが死にたいと思った今日は、昨日死んでしまった誰かが生きたいと願った今日」という言葉があった気がしますが、まさにこの言葉がそのまま本になったような世界観で、自分だったら最期に何をするか、何をしたいのか考えさせられる作品でした。

地球滅亡の日に向かってどんどん世の中の治安は悪くなっていくし、最期に近づくにつれてその人の本性というのは現れるものなんだと思います。

誰かの役に立ちたいと願う人もいれば、暴れることに命の煌めきを見出す人もいるし、それは仕方のないことなのかもしれません。

登場人物それぞれが「死」を身近に感じ、自分の人生と向き合って、自分にとっての幸せを見つけれることができたのでしょうかね…。滅んでいても滅んでいなくてもこれでよかったと思えるような最期だったように思います。

個人的には崩壊してもなお一部がインフラを支えているという設定も好きでした。

起きて、行きたくもない仕事や学校に行く。毎日同じことの繰り返し。
いっそこんな世の中無くなってしまったらいいのに。
そんなふうに一度でも考えたことがある人にはぜひ読んでみて欲しい一冊だと思いました。

人気ブログランキング

人気ブログランキング

コメント

タイトルとURLをコピーしました